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■ハム? 生ハム?■
最近は日本でも生ハムという言葉が一般に定着しました。パルマハムや生ハムメロンなどの料理によって広く一般にも認知されましたが、本来、世界的に見てもハムとは生ハムなどの燻煙するものが主であり、加熱するものは少ないのが実際です。
日本で製造される生ハムの90%以上がドイツ系列にあり、ドイツでも基本は生ハムで、加熱加工したものは数えるほどしかありません。例えば世界3大ハムと呼ばれる「パルマハム(プロシュート・ディ・パルマ)」「ハモン・セラーノ」「金華ハム(金華火腿)」も全て生ハムです。
基本的に日本での肉食は幕末以降のことであり、湿度も高く土地が豊かで1年中食べ物を採取できる日本では、ヨーロッパのように長期保存の食肉文化が花開きませんでした。特に生で肉を食べるという感性は理解が低く、一般家庭に浸透したのも戦後の事です。その為、日本ではハムは加熱加工するものが主になりました。
ロースハム・ボンレスハムなどはその代表でしょうね。しかし近年になり、ようやく本来の文化である生ハムが注目され、浸透してきたようです

■生ハムの歴史■

    紀元前7000年頃には豚が家畜として飼育されていました。
    農耕文化の広がりで人の生活は変化していきましたが、地域の気候により家畜が盛んとなり、効率的な保存食方法として生ハムが生まれ進化しました。詳細な発祥は不明ですが、家畜の発生とほぼ時を同じくしてその歴史は始まったと見られています。

    紀元前3500年頃にはバビロニアやエジプトに生ハムが生まれ、中国には紀元前4800年頃には生ハムが存在したと言われています。

    基本的な定義は、「豚の後肢を原料として塩漬し、乾燥や燻煙、加熱したもの」となり、保存食であるがために塩漬けを基礎としています。この辺は荒巻鮭などと同じですね。
    もっとも日本では、部位にかかわらず形態的なものをハムと呼ばれ、ヨーロッパでは豚の後肢で作られたものをハムと呼んでいます。

    日本における歴史はまだ浅く、最初は幕末にオランダから長崎に持ち込まれました。
    その後、第1次世界大戦後(1917年以後)に製造法が伝わり、太平洋戦争後(1945年以後)一般家庭に普及したと言われています。
    詳細は【土井ハムの始まり】に掲載してありますが、日本国内で食べられている90%以上がドイツハムであり、それは生ハムの製造法を最初に伝えたのがブッチングハウス氏であったことが影響を与えています。
    日本での生ハムの歴史はコチラをご覧ください。

■ラックスシンケン(生ハム)■
ラックスシンケン(Lachsschinken)
土井ハムで製造している生ハムの代表選手が「ラックスハム(ドイツではラックスシンケン)」です。豚のロース肉で作られる半乾燥食肉製品で「ラックス」とはドイツ語で鮭を意味します。生の肉の色がそう見えたんですね。
非常にマイルドで日本人に好まれていますが、本来日本に伝わった生ハムの基礎がドイツハムであり、当時の日本でも製造可能、その上味も日本人好みということで、国内で製造されている生ハムはこの種が非常に多くなっています。
世界のハムの呼び方
英語 Ham(ハム) ドイツ語 Schinken(シンケン)
フランス語 Jamon(ジャンボン) イタリア語 Prosciutto(プロシュート)
スペイン語 Jamn(ハモン) ポルトガル語 Presunto(プレストン)
ポーランド語 Szynka(シンカ) デンマーク語 Skinke(スキンケ)
スウェーデン語 Sinka(シンカ) 中国語 火腿(フォトエィ)

■生ハムの出来るまで■
★塩づけ★
デンマ-ク豚ロ-ス生肉を冷蔵庫で100リットルの水に塩、発色剤を入れ、その中にロ-ス生肉を漬け込みます。約2週間漬け込むことにより、塩分もゆっくりとしみこみ、生肉も熟成されます。

この際のポイントは塩分濃度と塩です。もちろん普通のお塩ではありません。天然の厳選した自然塩を使用しています。この段階での塩分濃度や時間で、味に大きな違いが生まれます。

発色剤に関しては、JASにより基準値が決められていますので、最低基準量を使用しています。これを使用しないと生ハムとして製造を許されません。
★成形★
2週間後、生肉を取り出し、表面の脂,筋皮膜を、すべて取り除き、ケ-シングに入れ,綿糸で巻き、形を整えます。この段階が重要で、不必要な脂肪分などを手作業で一本一本根気よく削っていきます。

土井ハムでは通常生産されている生ハムよりも脂肪の削ぎ取りを多めにしています。できるだけ肉の赤み部分を利用しているのは、肉が本来持つ食感や味わいを最大限に引き出すこと。そして必要以上にカロリーを高めないなどの工夫の結果です。

燻製にした際の燻煙の通りを良くするなどの意味もあります。
★燻製★
出来上がったものを、燻製室に入れます。
燻製室は、土井オリジナルの燻製財のみで温度を上げ、序序に温度を下げていき、65℃~60℃ぐらいの間でじっくりと、燻製を仕上げます。出来上がりは、燻製の度合いを、見計らい、8~12時間ぐらい行います。

燻製には檜を主に使っています。香り、臭み、燻製の質などから選びました。
その他にもありますが、後は企業秘密と言うことでご勘弁ください。
もしも家庭で生ハムを作る場合には、この燻製作業には気を使ってあげてください。最近では自家用燻製機などの小型の燻製室も発売されていますが、チップをよく選び、じっくりと時間をかけるのがポイントでしょうね。

あとは火種と肉までの距離も重要です。特に生ハムでは熱を加えすぎれば生ではなくなりますので、程よい距離で最適な燻煙と熱のバランスを測る必要があるのです。
★仕上げ★
出来上がった生ハムブロックは味見をし、出来を確認した上で冷蔵庫で半日冷やし、真空パックします。この段階で廃棄もあります。

写真は燻製室から出したばかりの状態。これから冷凍庫に移す前段階です。すでにこの時点では味付けも燻製も終わっていますので、もし何かしら失敗していても取り返しはつきません。

長年の経験と試行錯誤が必要な部分です。

★製品へ★
半冷凍の状態で、スライスし、計量し、真空パックすれば、皆さんよくご存知の製品になります。

昔は手作業でスライスしていましたが、厚みにバラツキがありその事が食感に大きく影響を与えるので、今では機械を使ってスライスしています。

もし、生ハムブロックをご購入されご自宅でスライスされる場合には、半冷凍の状態で包丁を入れてください。少し厚めに切って食感を楽しむもよし、薄めに切って食べやすくするもよし。切り方ひとつで色々楽しんでいただけます。

■生ハムメロンと生ハムの関係■
日本で有名な生ハムの食べ方に、生ハムメロンがあります。イタリアで夏によく食べられる料理で、メロンをパルマハムで包んで食べるのですが、元々はメロンの青臭さをごまかすための食べ方だったようです。しかしパルマハムは塩分が非常に強く、そのままで食べるのがつらい人たちにとっても、メロンの甘味が生ハムの塩辛さを和らげ、またメロンの甘味も引き立ててくれるので、一躍有名な食のひとつになりました。メロンのほかにも生ハムイチジクなどがありますね。

イタリアには他にも「洋ナシとゴルゴンゾーラチーズ 」などのように、強い塩分の食材を和らげるために色々な組み合わせの料理があります。

■生ハムの食べ方■


ドイツでは一般家庭でもよく口にする一般的な食材です。ドイツでの基本的な食べ方は食事の前菜としてそのまま食べたり、ライ麦パンや黒パンに乗せて食べるなどがあります。そのほかにも果物に巻いて食べたりもします。

土井ハムのお勧めはサラダと一緒に食べる、少しアメリカンな食べ方と、サンドウィッチの具として使ってみるのも美味しい食べ方です。

土井の生ハムは脂肪分を削ぎ落とし、塩分も日本人に合うように控えめに押さえてあります。しかしその製法は、日本に始めてドイツ式ハムを伝授されたブッチングハウス氏の教えを忠実に守り、昔ながらのドイツ式手作り製法を守った伝統の味です。そのまま食べていただいても、料理に使っていただいても、必ず美味しいといっていただけると思います。

ちなみにHP担当者の好きな食べ方は、レタス巻き!!&厚切りの生ハムステーキ!! これで決まりでしょう。

資料協力 財団法人 伊藤記念財団




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